シフと東京オペラシティホール

11月1日。アンドラーシュシフのコンサートに行った。シフはオペラシティに備え付けのピアノ、ベーゼンドルファーを選定したピアニストだ。25年前のことになる。日本初のオペラやバレエ、演劇だけのホールとしてまだまだ元気が残っている東京初台に誕生したのが新国立劇場だった。その隣に、大作曲家武満徹が監修、その名を冠するコンサートホールもオープンする。私はその誕生からずっと、そのすぐそばでこのホールの誕生から見てきた。親近感はひとしおである。

25年経った今、シフは25年間に自分がはるばるWienから連れてきたピアノで思い出深いコンサートを行う。期待はいやがうえにも高まる。普通のコンサートとの大きな違いはシフがあらかじめプログラムを発表していないこと。演奏曲目を自身の言葉で語り、演奏する。シフはハンガリー人だが、ハンガリー人作曲家の代表選手リストそしてハンガリー民族音楽の旗手作曲家のバルトークの作品より、バッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ハイドン、ドイツ古典派の作曲家の作品をこよなく愛したピアニストだ。今回のコンサートはこれにモーツアルトとブラームスを加えた作曲家の作品の中から彼が当日のインスピレーションで決めた楽曲が演奏された。長い長い、そしてとんでもなく素晴らしいコンサートだった。

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