さすがに山間部は寒い。そして一番びっくりしたこと。列車に乗る前にもらったポテトチップスの袋がぱんぱんにふくれていたこと。高い所にいるのだなあと実感した。友人がふらふらする、と言い出した。気圧の関係らしい。私もふらふらした。
さっそくサパの観光に出かける。まずは腹ごしらえ。ベトナムといえば、フォー。暖かいフォーは早朝の寒い空の元で、とてもおいしかった。身体が温まったところでカットカット村の入り口までタクシーで移動。カットカット村を眼下に眺める高台へ。”ここからあの一番下の所まで歩いて降りますね。”ガイドのニャンさんの言葉に私は絶句。ウソでしょう?”もうおじいさんのW先生も歩いて行きました。だから大丈夫です。”そうか、あの先生も行ったのなら私でも大丈夫だろう。案外簡単に行けるのかもしれないし。
ずーと下りだった。ずーっと。私は膝の具合が悪いので下りが嫌いだ。上りはまだマシ、下りは困る。普通は下りはラクなので、若いニャンさんは誤解してしまった。ハイさんの腕につかまって(すがりついて)ぼとぼと、下る。両側に少数民族の民族衣装の貸衣装やが並び、このあたりの特産品を売っている。若いベトナム人カップルが貸衣裳を着てさかんに写真を撮っている。来る前は私も衣裳を着て写真くらい撮ろうと思っていたが、足元が危ないのであきらめた。店をひやかしながら見て歩くのは楽しいが足元が不安なので、下ばかり見ている。すると眼前に豚や鶏、犬が歩いてくる。店には小さな子供がお母さんに抱かれていたり、一緒に店番をしている。
”途中からバイクに乗ることもできますよ”とニャンさんが言ったので、この先のことも考えてバイクにまたがった。”初体験ですね”と言われたが実は一度、ハノイ近郊のハイズーンで生徒のバイクに乗せてもらった経験がある。今回はヘルメットもかぶらず、運転手の後ろにまたがった。”先生、写真撮ってあげるね”ニャンさんがヘルメット無しの私の写真をさっそくラインにアップ。”違反行為だ”と東京から生徒たちが感想をよせてくれた。
カットカット村までの徒歩ーバイクー徒歩ー徒歩ー徒歩は階段だらけで、とても大変だったけれど、昔見た映画”ウイロー”や”ホビット”の村の中に入り込んだみたいで、とてもとても楽しかった。映画の方がこういう場所をモデルに作られているのだろうと考えると、私は映画の原風景の中にいる。
朝は雨模様で寒かったのに、だんだん晴れてきた。”晴れ女”の面目躍如。セーターなしでも暑いくらいになってきた。午後のファンシパン山行きも楽しみになってきた。