アオザイのこと

2018年、ハノイに行った際、ニャン先生に頼み込んでアオザイをオーダーした。旧市街のアオザイばかり売っている店をのぞいて買ってはみたものの、イマイチ納得がいかない。私が欲しいアオザイは式服としての格式を感じさせるようなものだった。そんな私の希望を辛抱強く聞いてくれたニャン先生のおかげで私はシルクショップでアオザイをオーダーすることができた。多分花嫁が着るのであろうスパンコールやビーズがたくさんついた薄いブルーのアオザイは私みたいなおばさんは誰も着ない。ベトナム人だって着ない。ゆえに私のアオザイはベトナム人の中に入って、とても目立つ。でも十分に格式を感じさせる(と私が勝手に思っているだけ?)このアオザイは一緒にオーダーまで立ち会ってくれたニャン先生の結婚式に着用することはなかった。彼女の結婚式は12月31日。さすがに日本の家庭の主婦業もやってる陽子先生は結婚式出席のために大晦日にベトナムに行くことはできなかったのだ。そのことでは今でもニャン先生はちょっと悲しそうな顔をする。そりゃあそうだ。ニャン先生の結婚式のためにと作ったアオザイを陽子先生は他の生徒の結婚式で2度も着用したのだから。ごめんね、ニャン先生。

タム先生の結婚式出席のためベトナムに行った。格式があると信じている陽子先生のアオザイ。結納式では古典的なアオザイ(大体の人は赤色)を着用する。花嫁も花婿も新郎新婦のお母さんもおばさんもおばあさんもみんな赤いアオザイ。花嫁は結婚式で白いドレスに着替える。が、他の人はみんな赤いアオザイのまま。赤はお祝いの色だし、ベトナム人は赤色が好き。よく似合う。そんな中で陽子先生は薄いブルーのアオザイを着る。

今回は初めてベトナムエアに乗った。機内誌にアオザイが特集されていて、その歴史が意外に浅いことを知る。加えて、陽子先生が古典的、格式がある、と信じていたことも、それほど重要ではないみたい。この辺り、私は日本人なんだなあと今更のように思った。

 

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です