7月の白い紫陽花-私の左足ー

陽子先生が生徒たちにとってどんなに立派な偉い先生なのかは知らないが、この2週間、陽子先生の左足である私は、彼女にとても多くの不満と不信感を持っている。ちゃんとした断りもなく、5月末に左足(つまり私のこと)の手術を決めてしまった。理由は痛みによる思考停止、行動の極端な制限、今後(未来)の明るい展望が見えないこと。あんなに、私がダメなんですよ、痛いんですよ、もう限界ですよ、とずっと言い続けてきたのに、全然私のいうことなんか耳を貸さなかった。大丈夫、なんとかなるさ。よくなるさ。そうして、突然、上記のような理由により、手術を決めた。

周囲に話す彼女の言葉を聞いていると、まるで麻酔でぐっすり寝ている間に手術が終り、目が覚めたら、すたすた歩くことができる。そんな言い方だ。本当に彼女はそう思っているのだろうか?それでも手術は仕方ない事と私も理解はしている。痛くない手術なんてあり得ないから、手術中はまあいい、その後は大変だろうな?とは思った。でも理由はともあれ、手術により私の今後の負担が軽減され、未来の展望が開けるなら、と納得もした。

だが、2週間経った今。やっぱり彼女はどうしようもない奴と思わずにはいられない。彼女は友人へのメールに不細工な身体の弱い長女が左足(つまり私)。美人で気立てがよく元気な妹が右足。なんてとんでもないことを書いていた。右足はせっせと左足の面倒をみてあげて、益々、美しくなる。私の右足はきれいだ。

手術後、3日経って包帯を取り換える際、彼女は初めて自分のばっさり切られた膝と15センチの傷口を見て、涙をぽとり。ごめんね。こんな大きな傷になっちゃったんだ。ごめんね。ところが、そのすぐあと、リハビリがんがんやって、少しでも早く回復できるようにしましょうね!なんてお医者さんに言われると、はい、がんばります!なんて言っている。

私はね、本当に怒りましたよ。怒りましたよ。だから、もうリハビリにも治療にも協力なんてするものかと思った。ちょっとでも無理な要求されると無理無理、痛い痛い。それでも少しづつ快復する。するとさらに無理なリハビリ要求する。そして、快復しているから、本当は嫌なんだけどできるようになっていく。

私ね、この2週間3回。反抗、抵抗、してあげた。夜中に死ぬような痛みを彼女の頭に突きつけた。

今やっと、陽子先生は正常な思考回路で、私をいたわり、愛情を注ぎつつ、大切にしつつ、協力体制で、リハビリを含めた快復を考えるようになった。

紫陽花は小さな星型の花弁がたくさん集まって、あんなに見事な大輪の花になる。

陽子先生、あなたの身体も紫陽花の花と同じなんですよ。忘れないでね!あの深夜の痛みを!

 

 

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