2回までは、当日のことを書きましたが、3回目はその後を書きます。面接会でぴったりの企業を見つけたラッキーな生徒は、10月19日、静岡の会社訪問をしました。会社が本当にほしい人材と出会うこと、生徒が本当に一生懸命働ける企業と出会うこと、それだけでもとても難しいことなのに、外国人の場合はそこにVISAという厚い壁が立ちはだかっています。でもまずは、出会いがあるかどうかです。生徒たちの一生懸命働きます、という気持ちに偽りはないと思いますし、企業が良い人材を求めているのも事実です。でも、就労を考えるとき、いつも私は、双方の微妙な考え方の違いを感じて戸惑いを覚えます。
まず、生徒の側に質問しましょう。あなたは、大学や専門学校で得た学位や専門士の資格が本当にそのまま企業に入って使えると思っていますか?あなたがほしいと思っている給料に見合う働きができると思っていますか?ここは日本ですよ。日本語が理解でき、日本人と一緒に働けなければ、会社のために働くどころか”給料泥棒”といわれてしまうかもしれません。学生アルバイトとは違います。学生時代とは違い、企業で働くというのは生易しいものではありません。皆がごく当たり前にやれるというのは、言葉が当たり前に通じる環境だからです。一方、企業の方はどうでしょう?日本人が働きに来ないから仕方なく雇う外人。そんな感覚ではありませんか?日本人より安く雇うことができて、まじめでよく働く。言葉の壁はあるかもしれないけれど、外国人だって同じ人間なんだから、言葉なんてすぐに慣れて日本人同士と同じようにコミュニケーションがとれるようになる。これは日本人の甘い考えです。日本社会では当たり前に話す日本語。この日本社会に飛び込んできた若い外国人たち。意欲もコミュニケーション能力もあります。そういう積極的なかれらに対して日本社会はあまりに閉鎖的です。社長が必死にスカウトしてきた外国人新入社員が働く現場でごく普通の日本人とまともな会話ができずに双方が立ち往生する。
生徒たちは、雇っていただくという意識が大切です。あなたたちはまだ何もできないのです。仕事を教えていただいて、少しでも早く会社の戦力になれるように努力しなくてはいけません。企業の側は言葉の壁というのは日常のごく些細なことの中に一番顕著に表れるということを理解してほしいと思います。わかったね?の一言で簡単にわかるほど、日本語は簡単ではありません。
でも、一方で、これは私の単なる杞憂なのかなと思うこともあります。また、JLPT取得を通じて生徒たちは、三笠塾の意味、意義を少しずつですが体得しています。意味のない留学ではなく、働いてお金を稼ぐことの素晴らしさを感じられる就職を提供していけるように、三笠塾も日々精進したいと思います。
10月19日の会社訪問の結果、ほとんどの生徒が、静岡での就職を希望しています。この面接勉強会は成功だったといえるでしょう。まだまだ就職希望の学生はたくさんいます。また、良い人材を求めている地方のすばらしい企業もたくさんあります。この出会いが、新しい出会いを呼び、大きく発展することにより、よりよい就職へと結びつくことを願ってやみません。2018年10月29日