最近、三笠塾内、私の身近で起こった出来事が、マルセルプルーストのあの有名かつ長大な小説をなぜか彷彿とさせる。主人公たちのイメージも、時代も、場所も、全然違うのだが。
あの長大な小説を、私は高校最後の年の夏休みに読んだ。読書は私にとって餌を食べる、ようなものだが、流石にあの手の小説となると読む時間を考えないといけない。高校最後の夏休みは周囲はみんな受験勉強にいそしんでいたが、私は、やったー!と読書三昧の毎日を過ごした。今では考えられないスピードで1日に何冊でも本が読めたが、そんな私でもちょっと手強い長さの小説。 失われし時をもとめて、は長い長い物語だ。
私の超短い小説はブラックスワン家の方へという。
主人公は美人で有名な都市出身の20代前半の女の子。傾いた家を再興するために、彼女は自分の美貌と思いやりや慈愛に満ち満ちた行動で、裕福な男性をゲットする。今的な感情なので、手に入れる、という日本語は向かない。ゲットする、がぴったり。そして、それはゲットされた男性から見ると、至福の時を約束されたことになる。
ゲットされた男性の名前はブラックスワン氏。彼は見た目もよく、つまりイケメンで、身長もある。若くてたくましいが、男くささや女性を力で支配しようとする強さはない。とてもナイーヴで優雅。黒鳥のように美しい。そして、彼は彼女が最も欲するもの、お金を持っていた。