オンライン授業

ベトナム人の講師たちがオンライン授業の有効性を説く中、私自身はオンライン授業に今一つ懐疑的だった。理由はひとつだけ。生徒が参加しないのでは?ということだった。平日の夜、週末の午後、私たちがいくら待っていても三笠塾勉強会に生徒は来ない。来てもあと15分しか時間がないよ。一事が万事ののんびりさんたちが、きっちり時間を決めて、授業料も要求するオンラインに参加なんてするものだろうか?

結果は、N1からN4までの授業が順調に催行されている。私自身は平日の夜3日と、日曜日のディスカッションタイムの週4回。主だった講師は大体そのくらいのペースでクラスを受けもっている。テキストに市販のものを使うクラスもあるし、オリジナルを使うクラスもある。私自身はオリジナルを作成している。新聞、雑誌、新書、冊子など、いろいろなところから記事や話題を拾う。原稿用紙1枚くらいにまとめた文章を使って問題を作成したり、その文章そのものを購読することもある。

新聞も雑誌も冊子も新書もついでに新刊本の小説とコミックも、結局、この1年で最も目を酷使する日々になってしまった。目は痛いしつらいけれど、日本語勉強会はとても充実した時を私自身にも与えてくれている。23時30分。授業を終わらせる。ちょっと自分のことをしたいなあと思っても、目が痛くて、明日もあるし、とばったり倒れて寝てしまう。

新聞や雑誌から拾う記事はやはり武漢ウイルスのことが多い。ベトナムは死者ゼロ。感染者300人ほどだが、早々にロックアウトして、学校もテット休暇からそのまま長期休暇に突入してしまった。日本にいるベトナム人に聞くと小学生の妹の学校は全部オンライン授業。でもWi-Fi環境がないので授業に参加できない。かかる費用は自前なので、日本で働くお姉さんにSOSがくる。”妹のためにお金送るよ。オンライン授業に参加できないと困るからね。”

元々ないお金、日本での就労だってどうなるかはわからない。でもこういう時、彼らはまずベトナムにいる妹を助けるためにお金を送る。

さて、三笠塾オンライン授業。静岡の遠州塾の社長さんが自分の社員も勉強させたいし、ウイルスの脅威で三笠塾も講師先生もお困りだろうから、寄付金をだします、オンライン授業を無償で提供しませんか?と提案してくれた。ありがたいお言葉に甘えて、さっそくN1講座を補充拡大N2N3N4もさらに充実させて、ベトナムでも日本でも勉強できるようにした。

オンライン授業はベトナムの民間の会社がいろいろなパターンで運営しているが、基本形は1クラス10人ほどで、一人が払う費用も高くない。ある程度、人数でこなせるようになっている。拘束時間も長い。一方、三笠塾は、私塾という考え方も含めてあまりたくさんの人数は引き受けられない。5人から6人くらい。これより多くなると、”お地蔵さん”生徒になってしまうのが困るから。せっかく生徒も時間を使う、講師はもっと時間を使う、無為に流れてしまう時間なんて絶対もったいない。

私塾の良い点を残しつつ、つまり少数精鋭。間口は広く誰でも参加できる。という二律背反を追いかけることになる。この場合の最重要課題は質の良い講師の確保だ。N2N1レベルの日本語能力を持ち教えることに自信とこれまた能力がある講師。ありがたいことに現在のオンライン講師は熱意もあり能力もあり、自信はもちろん、たっぷりある。

中止になってしまった7月5日のJLPTに代わって7月5日はオンラインJLPTを予定している。

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