庭の柿の木に柿の花がたくさん咲いた。半端な数ではない。そして、ぽとぽと、ぽとぽと、地面に落下。あっという間に、地面は柿の実をうんと小さくしたような柿の花で埋もれる。あまりきれいな光景ではないが、珍しいとは思う。2-3日、柿の花は地面に落下を続け、なんとか自力でしがみついていた幸運(?)な花が、実を結ぶ。
私の母は柿が大好きで、柿の季節になると待ちかねたように、柿を食べる。都会育ちの母は、渋柿というのを知らなかった。そのため渋柿を口に入れてしまい、”まずい!”
私のお節介な性格は父親譲りで、父は母のために、いろいろお節介を焼く人だった。渋柿に丁寧に焼酎をぬりつけ、こうして待っていると、美味しい柿になるんだよ。と私に教えてくれた。また、北国育ちの父は、干し柿の知識もあったので、麻紐で柿の実をひとつひとつ縛って家の軒下につるして、干し柿も作っていた。こうしてお日様に当てると、甘くなるんだよと、言いながら。
父は、母のために、美味しい柿作りに励んでいた。私も、こういう作業がきらいではない。父が亡くなった後も、母のために、今度は私が、渋柿を甘くして、母に食べさせる役を担っていた。
そういう私だが、実はあまり柿が好きではない。