日本にきてまもない頃、あるラーメン屋に入ってとても驚いた経験があります。店員さんにお店の席に案内された後、注文するためにメニューを探したのですが、どこにも見当たりません。不思議に思っていると、店員さんが指さしたのは、お店の入り口にある一台の機械でした。それが、私と食券機との初めての出会いでした。
その機械にはラーメンの写真が並んだボタンがたくさんついていました。お客さんたちは、店員さんと話すことなく、この機械にお金を入れて、静かにボタンを押して食券を買っていました。最初は、注文は人と人が話してするものだと思っていたので、少し冷たい感じがしました。しかし、日本での生活が長くなるにつれて、この食券機が、実は日本社会の面白さやすばらしさを映し出す鏡のような存在だと気付きました。
まず、食券機は日本の「効率性」を象徴していると思います。お客さんはレジに並ぶ必要がなく、お店側も注文を聞き間違えたり、お金の計算を間違えたりする心配がありません。特に、お昼の忙しい時間には、このシステムのおかげで、料理がとても速くでてきます。これは、時間を大切にする日本人らしい、賢い発明だと感じます。
次に日本語をまだ勉強中の私のような外国人にとって、食券機は「言葉の壁」をなくしてくれる、とても親切な存在です。メニューに写真がついているので、話せなくても食べたいものを簡単に選ぶことができます。注文の時に自分の発音が正しいか心配しなくてもいいので、安心して好きなものを頼めるのは、本当にありがたいです。
もちろん、たまには店員さんと直接話して、「玉ねぎを抜いてください」のような細かいお願いをしたいときもあります。しかし、それ以上に食券機は日本の社会がいかにして効率を高め、ミスを減らし、そして言葉のわからない人にまで配慮しているかを示してくれています。
一杯のラーメンを食べる前の、あの小さな機械とのやり取り。そこから、私は今日もまた、日本の奥深い文化について学んでいます。
2025年10月12日 モズ記者 記事

