陽子先生が好きなもの。ピアノ、日本語教育、料理、、、こうして考えると案外形に残らないものが似合っているのかな？と思う。それでも、古い知り合いが紹介してくれたフラワーアレンジメントの教室はばっちり形が残るとはいえ、楽しく通っている。若い先生は、あまり駄目だしをしない。褒めもしないが。でも、先生がちょっと手を加えてくれると格段に花束が美しくなる。楽しくアレンジメントをした帰り、喧嘩に遭遇した。
銀座で喧嘩である。私はしばし、この喧嘩に魅入ってしまった。
喧嘩の主は”鳩”。平和の象徴である。
4羽いる鳩のうち、グレーの2羽がつつきあいの喧嘩をしている。立ち止まって見ていると、メスを奪い合っているのかなと思った。そして、あー餌の縄張り争いだと思った。すぐ目の前にコーンにのせたアイスクリームを売る店があったから。グレーの2羽は格闘し、茶色の2羽はせっせと餌をついばんでいる。ところが、急に風向きが変わった。グレーの2羽が茶色の2羽を攻撃し始めたのだ。観客は陽子先生ともう一人、おじいさんだけ。周囲の人は忙し気に通り過ぎていく。
今はお寺の境内にも、公園にもあふれかえるような鳩の大群を見ることはない。小さな集団が、時々、道端にいるだけだ。そして、彼らは多分、あの大集団の時よりはるかに飢えている。