三笠塾の規約では新入塾生の募集は3月と8月です。
7月と12月が三笠塾の1年間の期間行事の基軸になりますので、7月の2か月前の5月2週目から模擬試験。7月の試験本番が終了すると、8月に9月からの新入塾生の募集を始めます。10月にビジネス日本語検定。10月半ばから11月いっぱいが後期の模擬試験。12月に試験本番終了。その間に1月は初もうでと総会。3月はスキー、4月はお花見。8月は海水浴。11月は紅葉狩り。12月後半はスピーチコンテスト。
こうやってみるとほとんど勉強なんてしてないみたいですが、ちゃんとやってます。良好な結果がでていますから。
新入塾生は三笠塾塾生の紹介かFBを介して面接に来ます。最初はみんな同じです。「私は〇〇です。ベトナムからやってまいりました。」と言います。私が「ベトナムのどこ?」と聞くと、「ふーん、どうせ言ったって先生知らないでしょう?」という顔をします。横で通訳をしてくれる講師の先生が「陽子先生はベトナムのいろんな所にいっているから知ってるよ。」とベトナム語で説明。すると彼らは、ニャチャンとかバックニンとかベンテェとか答えます。私がここで望むのは共有感です。彼らが私に親しみを持つのはもちろんのこと、私も「あー、あの場所からこの子は来たんだ」と理解できると、双方の距離はあっという間に縮まります。
大体、19歳~29歳。というのが三笠塾にやってくるベトナム人の年齢です。相対で人口比が高く、ベトナムの国家が海外に送り出してくる自慢の子供たちなのです。ですから、私は彼らの出身地、両親のこと、兄弟構成、日本語暦などを順番に聞きながら、彼らの日本語の名前を考えます。中国語由来の名前が圧倒的に多いので漢字を置き換えやすいのです。年齢は一緒くらいだし。
ところがこの2~3週間。ちょっと様子が違いました。
2月、テット(旧正月)にバギーに乗った赤ちゃんの入塾申込みがありました。お母さんはベトナム料理のコックさんです。お兄ちゃんは15歳。来年日本の高校に入りたいけど日本語は全然できない。今はテットのお休みで日本に来てますが、すぐベトナムに帰国します。でも来年4月には日本で高校生になりたい。そんな3人組でした。
そして翌週に現れたのは、少年連れの3人家族でした。私はかれらに日本の名前を即座につけました。お父さんはコックさんで“勝彦さん”と名づけました。お母さんと7歳の少年は2月に日本に来たばかり。でも少年は、4月から東京の区立小学校に通います。少年は“英君”。お母さんは“知恵さん”と名前を付けました。日本名をつけると日本人は格段に呼びやすくなります。小学校に入ってもなじむのがはやくなるかなと期待しています。
今、三笠塾は英君の進学の準備に大騒ぎです。その前の週は赤ちゃんのお世話で大騒ぎでした。外国人にはなじみにくい日本の社会で、かれらがすくすく成長していってくれることを願うばかりです。