5月になって

三笠塾の親である三星合資会社も緊急事態宣言を受けてテレワークになった。作業の大半は自宅PCで処理し、ミーティングも各自の自宅からスカイプを使って行う。会社の事務作業に不便はほとんどなく、一方、私はものすごく忙しくなっている。炊事洗濯掃除など家事が在宅作業の合間にいくらでもできるようになり、完全両立が可能になったためと、自宅でオンライン授業をやっているためだ。オンライン授業はベトナム居住者と日本居住者が同時に勉強できるが、ベトナムと日本の間には2時間の時差があるので、夕方から深夜での勉強会になることが多い。これを在宅作業にさらに組み込むため、忙しいのだ。

ふと思うことがある。私たちの時代、両親に育てられていたころ、また、自分たちが子育てしていたころ、と現在。隔世の感がある。あの頃は母親とは家にいる人だったし、私たちも母親はいつも家にいる、が前提で子育てをしたものだ。家業があれば子育てしながら家業も切り回し、どちらかを選ぶというのではなく、子育ても家業の手伝いも家事も全部こなすのが、商家や自営業者の家だった。私の家は自営業。来客も多く、父も家をでたり入ったり。両親はそういう家業をこなしながら子育て、教育をしてくれたんだなあと思う。

サラリーマン家庭の母親は専業主婦だった。夫と子供をおくりだし、炊事洗濯掃除をして、ほっと一息ついてお昼ごはん。狭い我が家をきれいに片づけて、夕食の支度をして子供と夫の帰りを待つ。テレビでは、機能的な新しい機種をどんどん繰り出してくる電気製品のコマーシャルをがんがん流し、あら、あの冷蔵庫いいわねえ。今度のボーナスで買っちゃおう。とテレビを眺める。

武漢ウイルスの脅威から、(テレワークというより)在宅作業に移行した私の日常は、ふとそんな昔を思い出させる。

武漢ウイルスの脅威による自粛で、休業することになった業態のひとつデパート。私はデパートが大好きなので、内心はがっかりした。別にいつもいつもデパートにいるわけではない。でもこんなにあっさりと休業されてしまうと、とても困る。

昔のデパートは18時までだった。10時開店ー18時閉店。これは小売店を守るため。どのデパートにも定休日があり、新宿でいうと小田急と京王は木曜日。伊勢丹が水曜日。三越は月曜日が定休日だった。定休日前の17時半くらいになると食料品がすごく安くなるらしいと私の亡くなった母は行きたがったが、夕方、新宿に主婦がいくなんてダメだ、と父に言われ、母は行くことができなかった。その後、デパートは定休日をやめ、18時以降も営業するようになり、現在にいたっている。

他にもある、理容店は月曜定休。美容院は火曜定休。不動産屋は水曜定休だった。多分全国一斉にそうだった。デパート内の美容院はデパートの定休日に合わせて休むので美容院が休みの火曜日にどうしても美容院に行かなくちゃというときはデパートの美容院に行った。それが高じて、現在はデパート内の美容院に行くのだが、自粛当初、デパート内の美容院の美容師さんたちに昔のデパートは18時閉店だったというと、びっくりした顔をして興味津々。私は、これからはそうすればいいのにね。というと、自分たちは20時まで店が開いているとお客さん帰ってから清掃や翌日の準備で店をでるのは22時ころになってしまう。18時閉店だったら余裕できますね。

自粛の最初の2週間くらい、デパートは18時とか19時閉店。週末も休業したことがあった。私は思った。昔に戻った。これはいい感じ。だらだらと長い時間店を開けておくことはない。デパートはこのまま18時とか19時閉店にしたらいいのに。

5月になって緊急事態宣言はまだ続く。

 

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