タイトルとは裏腹に陽子先生は少々憂鬱である。苦労して育てた1期生たちは、みな独立を果たしてしまい、新規の2期生は、また一から一人で始めなければならないことになったからだ。慣れた道だから迷いはないし、全く手伝いがいないわけではない。けれど、陽子先生は少々お疲れ。10年前どころか5年前と同じにも動けない。ガッカリである。猫は期待と希望満々の顔で目的に向かう。目的場所に想っていたものがない時、本当にガッカリして肩を落とす。そんな猫みたいな気持ちだ。
先日、ゆかり先生に聞かれた。先生はいつが一番幸せだった?面白い質問。でも、私は即座に答える。今が一番いいかなあ。あらゆるものが満たされている。しかも私だけじゃない、周囲のみなも。時間通りに来る電車。安い料金で食事ができる。トイレも飲み水も無料で手に入る。新宿なんて私にとっては庭みたいなものだ。大好きなデパートで欲しいものを買う。20歳代はすんなり着られる素敵なお洋服がいっぱいあったけど、お金がなくて買えなかった。少しはお金持ちになったら、そんな若者みたいな洋服恥ずかしいわよと周囲に言われて買えなかった。でも今は、買える。いつからだろう?そんな風になんでも大丈夫になったのは?
両親から、周囲から、家族から、色々な人からいろいろいただいたもの。そういうものの集合体の上に今の幸せがあるのだと思う。昨年の手術ではとっても痛いおもいを散々したし、時間もお金もかかった。でも、助けてくれた人たちがいなかったら、私の足は、今のようには動かない。そう、手術に踏み切る以前の痛みを考えると、そう、今が一番幸せ。そして、ちょっと的外れと思いつつ、麗しの五月の憂鬱を楽しんでいる。
なんてったて、端午の節句。子供の日ですから。