4月1日は入学式、入社式。そしてエイプリルフール。といっても、この言葉はずいぶんと古い言葉になってしまった。そもそも、なぜ4月1日がエイプリルフールと呼ばれ、なぜこの日は公然と嘘をついてもいい日になったか、私は知らない。知らないまま忘れていた。なぜ思いだしたかというと、庭の池から金魚が忽然といなくなったからだ。
時々思い出したように、宝仙寺の参道脇にある熱帯魚を売る店で1匹10円くらいの金魚を20匹くらい買って庭の池に放す。本来は熱帯魚など肉食の魚の餌用の金魚。春になるとカエルが産卵し、たまに鳥が水を飲みにくる程度の小さな池だが、金魚をいれると赤い色が妙に目立って、いろどりがいい。最初は小さくて、20匹入れてもあーいるなあ!程度だが、おばあちゃんが少し餌をあげて、水藻をいれてと丹精しているとだんだん大きくなってくる。私たちが近寄ると微妙に反応してとても可愛い。だが、ある時、鷺がやってきた。鷺は家の屋根に止まって地上を睥睨している。何やってるのかな?と思っていると、どこかに飛んでいってしまった。へえ、鷺って飛んでくるんだ。ところが、2-3日して夫が、こら!と怒っている。池に鷺が舞い降りて、金魚を食べていた。食べ終わったところで、すたすたと2-3歩、歩いたと思うと、飛んで行ってしまった。金魚はその役割を見事に果たしてしまったのだった。
そんなことがあってしばらくは金魚を飼うのはやめていたが、やっぱり欲しい。赤い金魚。宝仙寺にお参りに行ったとき、20匹買った。1匹2匹と死んでしまって、8匹になった時、池の表面を覆っていた枯葉を処理した。すごく大きくなっていた。それが3月の終わり。
そしてエイプリルフール。金魚は騙されたみたいに1匹もいなくなっていた。けれど、今回、私たちは鷺の姿を見ていない。3月31日には池にいて、4月1日は忽然と姿を消した金魚。これはエープリルフールの話だが、嘘ではない。
クリスマスローズの花が狂ったようにたくさん咲いている。ピアノの生徒さんの佐藤さんが、わざわざ自宅から株分けして持ってきてくれたものだ。とても丈夫な花でとても力強い。さらに株分けして、そちらもたくさん花をつけている。佐藤さんはもうレッスンにこれなくなってしまったけれど、クリスマスローズは毎年、たくさんの花をつけてくれる。さすがに鷺はクリスマスローズを食べることはないようだ。