一杯のラーメン

私はラーメンは好きではありませんが、昨日、花見がてら永福町の有名なラーメン屋に社内ランチで行きました。いろいろな意味で有名なラーメン屋ですが、一番大きいのは行列ができる店ということです。

この行列ができるということが、私が何をするにも狙っているところなのですが。そして当然のことながら行列ができるのには理由があります。この店の行列の所以はなんでしょう?

現在は3代目が店で働き始めたそうです。1代目のおじいちゃんは体調もあまりよくないので店にはでないけれど、自分自身で考えだした行列のできるラーメン店がいつまでも、続くように日々アイディアを出し続けているそうです。順調に後を継いだ2代目。そして3代目。変わらない味と量。店の外には独立したい人大歓迎という求人広告が踊っています。

ずっと続けられることの極意、すべてがこの店に詰まっているように感じられて、ラーメンを食べる箸を握る手にもつい力が入ってしまいます。ずっと続けられることと行列ができることはイコールのように思われます。これは一見、当たり前のことのように思われますが、簡単ではありません。行列ができるということは、いつかは食べられるということです。待っていても入れませんよ、売り切れですよ、が続出したらお客さんは行列を作ってくれません。年数という意味でずっと続くことの前に、並べば必ず食べられる、つまりある程度の時間待ちをすれば絶対食べられるということ。この店はほとんど24時間営業です。

コンビニが時間短縮に動く中で、この店にはそういう気配は皆無です。だってお客さんがずーっといるのですから。コンビニが時間短縮を考えるのはお客さんが来ない時間が多すぎるからでは?もう一方で、店を維持する人手が足りないから。でもこの店では、早めの独立や高給を約束して店員さんの確保にも困っていないように思えました。

この店は一杯のラーメンの中に、ことほど左様に、今の日本が抱える問題のひとつの解決策を提示しています。(と私には思えます。)

もう一点、この店、ほとんどメニューがありません。ラーメン1点張り。まずいラーメンしかださなかったら、この店にリピーターはつきません。おいしいラーメンだったらお客は三日と空けずにリピートする。でも値段や、ラーメン(しかも相当重い)を三日と空けずに食べにくるんだろうか?だったら四日目にでも五日目にでも来てもらえばいい。そういう意味での時間の読み方に余裕を感じます。

先週のJLPTの文法の問題。”たかが~されど~”で短文を作りましょう。

たかが一杯のラーメン、されど一杯のラーメン。人生を賭ける価値が十分にありますよ。

 

 

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